妄想ニッポン食

このお話は、実話ではありません。本当に内容に合ってるかどうか、確認していません。ですが、本当のことかもしれません。

ニッポンで生まれて育って、「和食」を知らない、和食を食べたことがない、という人達がいます。「日本茶」も「日本酒」も飲んだりしません。スーパーやコンビニで買い物するのに、弁当なんかも買って食べていると思うんですが、わざわざ和食を避けるみたいなんです。

白いご飯は食べるけど、おにぎり、のり巻き、いなり寿司はわからない。

漬物(つけもの)? 佃煮(つくだに)? 小皿が別に付いている。しかも、納豆… 納豆についてくる「からし」

白いご飯に、生卵を割って、しょう油をかける、たまごかけご飯、だってさ。生卵と温玉がわからない。

お弁当の白いご飯のまんなかに、梅干し、かならず。梅干しは、黒い海苔のシートで隠されていることも。

麺類で、ラーメンは食べられるけど、おそばは食べない。かけ蕎麦は、見るとラーメン丼みたいなんだけど、もり蕎麦なんて、つゆのお椀と、小皿にきざみネギときざみ海苔、わさび、どういう食べ物か理解できない。

夏といえば、冷や麦、そうめん、どっち派? そんな意識調査が出てくるシーズンですが、食べたことないでしょ。

面倒くさくて、そういう連中とは一緒に食事もできないかもしれない。 

からし、わざび、うめ、ねぎ、おろししょうが、紅しょうが、みょうが、しそ、、


食べ馴れているニッポン人は、これがなけりゃ、という 薬味(やくみ)、よくあるジャパニーズ・スパイスなんだけど。 ニンジンやピーマンが苦手、という子ども達より、説明が難しそう。ニッポンの子ども達も、こういう和食をいつの間に覚えて、食べたり作ったり、レシピや動画なんか公開して披露できるようになるのでしょう。海外からニッポンに帰ってきて、あーみそ汁食べたかったんだ、と思うとか。(100均レトルトみそ汁などは、海外のホテルでまだ販売されていないのか..)

焼き魚には、大根おろしが付いてくる。大根おろしにはしょう油をたらしておいて、丸ごと焼いた魚を、箸でほぐして、大根おろしをちょっと付けて食べるのか、大根おろしの中に混ぜて食べるのか、魚の大きさに対して、大根おろしは少ないので。

冷ややっこが食べられない。食べ方もわからないかも。小鉢の白い立方体は、豆腐といって、そのままでは味気ない。しょう油をかけすぎると、なんだかわからない。冷ややっこにも、やっぱり小皿が付いてきて、ネギやかつお節が付いてくる。器用にしょう油を付けて、箸で食べるとか。そういえば、みそ汁の豆腐も..

日本に住んでいるのに、日本酒、飲んだことがない。たぶん、同じ出身国の人達の中で暮らしていて、日本人と日本酒を付き合うような食事をしたことがないんだろう。学生コンパで居酒屋で集っても、日本酒が出てこないから。日本酒は、ワインみたいな、と言われると、白ワインの方かもしれない。ワインは国名で選んでみたりするけど、ちょっと調べてみると、ラベルに「日本酒」と書いてなくて、瓶とか箱に筆文字がある。まず、どれを手に取ればいいんだろう。やっぱり紹興酒が便利だから。酒コーナーでは、迷わないこと。

宗教の理由で、日本酒が飲めないというわけではなさそう。でも、彼らと食事をする機会に、初夏だから冷(ひや)で、などと日本酒を勧めて、喜んでくれるかどうかわからない。

日本茶と聞くと、茶道の「茶の湯」のことかと思うかもしれない。日本に住んでいるのに、気軽に緑茶を頼まないし、 コンビニのドリンクコーナーで、わざわざ緑茶を手に取らない。
ペットボトルの緑茶のラベルに 「体脂肪を減らす」とか「カテキンが万病に効く」とか、 緑茶独特のクセのある酸味が、 クスリの代わりに飲むお茶というイメージで、健診の結果でいざという時に日本茶なのかな、と思っているかもしれない。たぶん、寿司屋で出てくる湯のみで、寿司を食べながら飲んだことはあるんだろうけど、食事と一緒であったかい日本茶だと風味がわかりにくい。夏に冷たいドリンクを飲むとき、緑茶、ほうじ茶、玄米茶、麦茶、烏龍茶、、、やっぱりウーロン茶がいいとか思うのだろう。できれば、寿司屋でもウーロン茶がいい。安心できる…

ニッポン人は美味しいモノが大好きで、なんでも食べる。食べさせられる、という言い方はしないと思う。海外に旅行しない人でも各国の食文化などには、結構通じているし、ニッポンの食事のメニューはそれだけ豊富だと思う。 日本で生まれてグルメに育っても、和食を語れないので、なかなか親しくなれないかもしれません。 彼らは、 日本語のTVを見て日本を見張りながら 、ニッポンに何十年長期滞在旅行中で、箸を使って食わず嫌いの家系育ちなのかもしれない。 日本にいれば、兵役はないし。コロナの犠牲者だって少ないし。

「ちゃんと和食が食べられるようにならなきゃダメ」とか 「日本で生きていきたければ、和食は残さず食べなさい」とか、そんな風に言われないから。体調や体質でアレルギーが出たりするのをとても嫌うので。 ニッポン人のマナーでは、食事に関しても、人の好みや苦手を話してもらって情報を知っていても、個人的に記憶して何度も繰り返し念を押したり、食べにくいモノを押し付けたりすることは、決してないと思う。

ホテルとか、ファミレスみたいに和洋中、なんでも選んで注文できる店が多いのは、そういう人達が食事に困らない様に、ということなんだと思う。