最近、EXCELのステータスバー(左下)が気になります。
「アクセシビリティ 検討が必要です」
などと、なにか書いてあります。
PCやスマホの設定メニューに、以前は「ユーザ補助」と書かれた項目がありましたが、最近「アクセシビリティ」になって進化しているのに気付きます。
WindowsやAndroidのユーザ補助には、画面を見やすくする拡大鏡やズーム、色コントラストとか、マウスポインタを大きく目立たせる設定、スクリーンキーボード、ナレーター音声読み上げなど、代表的な機能がいくつかありましたが、アクセシビリティは、視覚、聴覚、操作の項目別に各機能が明らかに充実しつつある事がわかります。漠然とバリアフリー対応というイメージがありましたが、視覚効果や字幕、音声認識などの機能もアクセシビリティの項目に加わってきています。
画面が見づらいので、画面を明るくする、というのは画面の設定になりますが、画面のテキスト文字をもう少し大きくしたい、という時はアクセシビリティ設定になります。ただし、スマホの画面上で2本指ピンチアウトの操作をして画面を拡大するのは、アクセシビリティではないかもしれません。
WEB画面の色合いやコントラストで、色覚障がいの人達には伝わらないことがあるそうです。せっかくのカラーデザインなのに綺麗な色に見えない、「オレンジ色の部分」とあってもグレーに見える、下線を引いて強調して欲しいなどと提案されるそうで、閲覧側で個別に画面設定を変更する必要があります。
テキスト読み上げの場合、入力されたテキストをそのまんま読み上げられるのですが、読み上げ機能が日本語万能レベルには至らず、日付の 8/10 (8月10日)を「10分の8」、水曜日の(水)を「みず」などと機械的に読み上げられることがあるとか。聴覚障がい者を対象にする情報ページなどでは、文章の表現自体を部分的に見直さなければ、一度で正しい情報が伝わらないかもしれないというのが現状のようです。
また、画像をHTMLタグの代替テキスト(ALT)の記載読み上げられるので、ページに画像があることが伝わります。
前述のEXCELにおけるアクセシビリティ・チェックでも、挿入された図の代替テキストに関する指摘が表示され、視覚障がいへの配慮が示されます。あるいは、シート名をSheet1のままワークシートに図表データなど内容を作成していると、アクセシビリティ・チェックで「既定のシート名」が指摘されます。テキスト読み上げでシート名を聞いて、タイトルや内容が解るように、シート名を入力しておいて欲しい、というシート名設定を促す働きのようです。
また、作成した表の背景色や文字色について「読み取りにくいテキストのコントラストです」と表示され、色覚障がい者への配慮を示していたりします。
色覚障がいは、成人男性に多いそうです。インターネット接続の電話サポートの仕事をしていた時に、ルーターの緑ランプと橙ランプの点滅、点灯で接続状態を案内していると、「 なんとなく点滅わかるけど、色はモノクロで、色わからないんです。」とか、「色盲なので」とか、毎日毎週聞いたではありませんが、時々ご自身の症状について教えられました。電話口の声は、配慮のない物品やマニュアル設定に怒りを感じている風でもなく、飄々としていましたが、電話でなくても、相手の方がどのように見えづらくて不便かは、その人達の姿を見ただけでは解らないと思います。視力障害ではなく、色覚障がいで、暗い部屋にいて 寝ぼけているわけではないのです。 日本人男性20人に1人の割合で色覚障がい者がいるとのことです。職業が限定されるかもしれませんが、日常生活にはそれほど支障はないみたいです。
色設定に関しては、おもに公共(Public)に公開する広告デザインなど広報関係の仕事をしている人達にとっては常識なのかもしれませんが、自分のPCのEXCELで、見栄えよく好きな色を選んで表を作ってみたのにと、アクセシビリティ・チェックが読み取りにくいと警告を出してくることに、抵抗を感じるかもしれません。アクセシビリティ・チェックを押下していないのに、自分には関係ない、と憤慨するかもしれません。
「アクセシビリティ 検討が必要です」なんだろう、と気になって探っていたら、いつの間にアクセシビリティ・タブができていて、サブウィンドウが開いてなにか警告を言ってくる..
EXCELのステータスバーに、アクセシビリティ・チェックエラーや警告が勝手に表示される状態をオフにするのは、[ファイル]ー[オプション]ー[アクセシビリティ]
「作業中にアクセシビリティチェックを実行し続ける」の既定のチェックを外して[OK]
簡単です。ステータスバーに現れる忌まわしい勧誘メッセージが消えました。ところでこの[オプション]の項目は以前[簡単操作]という名称だったところが [アクセシビリティ]になっています。
Officeの「アクセシビリティ」メニューは[校閲]メニューにあります。いずれそのうち、公用などでチェックが必要になってしまったという時に、手動でアクセシビリティ・チェックを実行すればよいわけです。
「アクセシビリティ・チェック」はWEB上でも密かに普及している様です。アクセシビリティ(accessibility)という言葉の意味は、アクセスのしやすさ、近づきやすさ、ということで、情報やサービスなどがどれくらい利用しやすいか、とくに障がい者や高齢者などを含めてより多くの人々が利用できる環境を試行していて、その先に、すべての人々が問題なく利用できる環境を提供することを考えられているかもしれません。
公用だから仕方ないとか、バリアフリー担当だから知っていなければならないとか、限られた職域で利用するものではなくて、パソコンやモバイル端末の機能が、すでに多くのユーザに対応できるってことをアピールしたがっているのでしょう。
アクセシビリティが密かにブームだから、世の中のみんなのことをちょっと考えてみる、アクセシビリティ・チェックを真に受けられることで、広く社会で通用する処世術を身につけられる機会かもしれません。