停電・テレワーク中の災難

ブレーカーが落ちた。2Fの自室でテレワーク、インターネット接続したノートPCで作業中。ブレーカー落ちは、ウチではよくあることなので、暗い階段を下りて真っ暗な1F玄関ドアの上、手探りでブレーカーのOFFになっているレバーを上げた。しかし、いつものように電気が点かない。ブレーカーの主電源OFFを確認してONにした。主電源スイッチ横のレバーが、カッチャンと落ちる。全室電気が点かなくなった。

玄関前は照明が点いていないと元々真っ暗なので、玄関ドアを半開きにした。曇り空で、夕方前で、外もそれほど明るくなかったが、とりあえず玄関口が見えるようになる。それから、階段の手前に置いてある乾電池ライト(人感センサー付き)を手に取った。 乾電池が弱くなってボーっと灯っていたので、ライトの電池交換も今やろうと思った。玄関前の通路に置いてランタンの様な役割でもあり、懐中電灯の代わりにもなる。単3と単4乾電池の買い置きはある。 2Fに上がって窓の明るさを手掛かりにスマホを探し、スマホのライトを点けて、乾電池を取り替えたらライトが元気に光ったので、ライトを片手にもう一度、ブレーカーを見に行った。さっきどうしても落ちてしまう主電源の横、3つの各箇所スイッチの下、「漏電遮断機」と書いてあるレバーが下がったまま。ウチの中が停電の状態、漏電遮断器が室内全箇所の電気を許さない状態となっていた。

ため息が出た。電話しなくっちゃ。

2Fに上がって、入居手続き書類を出したり、スマホで電気関係の電話番号メモを探したりした。引越しの時の電気、ガス、水道の電話でいいのかな。

電気のフリーダイヤル、スマホから電話をかけたら繋がった。(フリーダイヤルは携帯番号から掛からないことがよくある)東京電力のサービス業者「東京電力エナジーパートナー」と名乗る業者で、TEPCOの電話のオペレーターの奥様が、丁寧にこっちの事情を聞き取ってくれた。ブレーカーの状況を点検する者がお伺いしますが、出張料金9,000円かかりますけど、よろしいですか、と確認され、では60-120分以内に伺います、と言っていた。

ブレーカーの主電源をOFFにしておいて、TEPCOの業者さんを待っている間、各室を見に行った。窓のあるところ以外は真っ暗だ。 冷蔵庫や炊飯器は死んでいる。 冷蔵庫が真っ暗なんて、引越し以来だ。停電が復旧できなかったら、どうしよう。電気は必要だし、ありがたいものだと改めて感じる。
そういえば最近、昨年の今頃より電気代がずいぶん高いんだけど、と気になっていた。在宅が多いからかしらと思っていた。漏電の前ぶれのせい.. と思うと不安感がつのってきた。
夕方で、窓のある部屋は外の明るさが室内に入るけど、そろそろ夕暮れ時で、夜になると真っ暗だろう。

自室に戻ると、デスクのノートPCの画面が明るかった。ACアダプターを差しっ放しだったので、バッテリーが充分でノートPCが起動したままだ。だが、光回線のホームゲートウェイが停電で繋がらない。せっかくPCは使えるのに、ネットに接続できないと仕事ができない。職場にいるメンバーに、メールで現状を報告することもできない。

ふと、スマホのテザリングを試してみた。
docomo回線のスマホなら、無料でテザリングが使える。
自宅に光回線を契約しているので、停電になって困らなければ、 テザリングを試そうなんて、考えもしなかった。セキュリティが高いオフィス環境のテレワーク用PCで、テザリングが使える仕様になっているかどうか。AndroidのスマホでアクセスポイントONにするとWi-Fiの親機になるので、PC画面でWi-Fi接続する。 Wi-Fi接続一覧にAndroidAPが出てきた。 スマホ画面に載っているパスワードを入力して..

やったー!

テザリングで、インターネット接続に成功した。
AndroidAPに 問題なく繋がった。テレワーク環境の仮想デスクトップ(VDI)にも接続できたし、 停電中でスマホはWi-Fiに繋がらないのに、テザリングで無線受信したPCは結構快適に接続出来る。 仕事の 作業の続きが出来てしまう。 少しばかり手掛けられる。作業にも支障がなかった。 幸いそれほど忙しそうではなかった。

室内なのに、アウトドアみたいだ。

突然の停電など、そういう非常事態にモバイル充電はとても役に立つ。充電が充分のスマホと、バッテリー満タンのノートPCは急場に救いになる。

ちなみに、iPhoneの方は、 テザリングでWi-Fi一覧にSSIDが出てきたのだが、
iPhoneでこの接続はできません、と表示された。

さらに、スマホのワンセグ・アプリでテレビ視聴もした。奇しくも、国会中継で電力料金の負担軽減に関して 総理大臣の答弁の映像..

そんなこんな、バタバタしているうちに、電話を掛けて約1時間後に、TEPCOのお兄さんが到着した。玄関先で脚立、ハロゲン灯、いろいろ持参した物を準備して、脚立に乗って玄関扉の真上のブレーカーの蓋を開けた。

このウチ、ネズミいますか?と聞かれた。

ブレーカーのコードがネズミに齧られている、ブレーカーのところは暖かいので、アイツら入って来ちゃうんですよ..

築50年超の古い建物だけど、ネズミは1匹も見たことがないし、ゴキブリだって3年住んでて2匹しか見ていない。TEPCOのお兄さんは、話しながら、 2本の金属棒を ブレーカーの各箇所に当て、首から下げたモニター画面でチェックしながらしばらく作業して、漏電の原因が1Fの照明のどこかにある、という事と、漏電の原因が壁の中の配線にあるかもしれないので、 電気工事店さんに来てもらわなければならないので家主さんに連絡して下さい、という事と、漏電の原因がある1Fのブレーカーは上げないで、ということを言って、それから、ネズミに齧られたコードを修繕しておきますね、と言いながらブレーカーに差さったコードを1本ずつ抜いて赤いテープを丁寧に巻いて、差し直していた。

ひととおり点検が終わって、連絡事項を聞いたので、最初に聞いていた出張料金は、現金払いですか?と尋ねると、

現金では受けられないんです、クレジット払いか、電子マネーとか、と脚立から玄関前に下りて、お兄さんが言っている。


2Fへ上がる階段の照明はもう点いていて、 2Fにクレジットカードを取りに行くと、お兄さんは玄関先で、片手にカード差込みデバイス、もう片方の手にスマホの画面を持っていて、クレジットカードを差し込むとスマホに金額9000円が表示されていた。それから、スマホの画面の正面をこっちに向けて、こちらにサインをお願いします、と。次に、携帯の番号を入力して、携帯番号宛てに、メールで領収済みの連絡が送られますので、と..

ふーん、、

薄暗い玄関前のやり取りで、 小一時間のうちの出来事、 停電、漏電遮断機、60分から120分、ネズミが齧ったコード、1F照明のどこか、壁の中の配線工事、玄関でクレジット払い、携帯番号宛てに領収書… 交錯する これらのキーワード、すべて事実だし現実だったし、電気が点けば、もうさっきまでの焦燥感や不安感、室内アウトドア感などは、すっかり消えてしまって、どうしても、今日不意に9,000円を使ってしまったという気がしなかった..